177回国会 参議院
財政金融委員会、厚生労働委員会、国土交通委員会連合審査会
第1号
2011年5月1日(日)午後5時30分開会
 

本日の会議に付した案件
東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
財政金融委員会、厚生労働委員会、国土交通委員会連合審査会

佐藤信秋君

佐藤信秋

自由民主党の佐藤信秋でございます。

今日は簡潔に質問しますので、簡単にお答えいただけたらいいと思います。

最初に、この財源確保法案、無理に無理を重ねて財源の方をつじつま合わせをしてと、こういう形になっていますが、こんなに無理せずに、必要な国債は発行する、で、二次補正で調整する、そうしたらもっと早く出せたと思うんですね。もっと早く、一月ぐらいの間に出せた、こういう問題だと思いますが。

大臣、どうせ二次補正出さないかぬですね、大急ぎで。したがいまして、二次補正できちっと調整する、こういう形でお出しになるべきだったとは思いますが、二次補正を大急ぎで出していただきたい、まずその点について御答弁お願いします。

国務大臣(野田佳彦君)

取りあえずの早期復旧を目指すための事業を行うために、今般、約四兆円規模の補正予算、今御審議をいただいているところでございますけれども、委員御指摘のとおり、復興に向けてのこの歩みも早めなければいけないというふうに思っています。そのためにも復興のための青写真をつくって、そのためにどういう財源が必要かという議論をしていきたいというふうに考えております。

佐藤信秋君

復興のための青写真づくりというのは、実は津波で流されたり、それから原発が事故の収束をまだ見てないと、こういう状況の中では、ビジョンを薄々お示しして、国は方向性、市町村が実質組み立てていく、こういう作業が不可欠なんで、そういう意味では、復興の計画を立てた上で二次補正というのは私は無理があると思いますので、これはお願いしておきます。そこは無理です。現場をよく見てきていただいたら分かります。

ですから、それとは別に、まず二次補正しっかりと枠を示していく、明るさを示していく、その方が大事なんで、復興の計画なりなんなりを作ってからと、こういうふうにおっしゃっていると、いつまでたっても明かりが見えなくなります。これだけは気を付けてください。六月いっぱいで国がこういうふうにやっていきましょうなんて、そんなことを言っても地元はとても対応できません。瓦れきの処理一つできないわけですから、まだそのころは。応急仮設住宅もまだ完成してません。ですよね。そういう中で、復興の計画を作ってそれからみたいなことを言っていたら進みません。したがって、二次補正を組み上げる方が先だと、みんなで元気出そうという補正を組むんですよと、その方が先だということをお願い申し上げておきます。

そこで、今回のこの財源確保法案の中で、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金のうち一兆二千億国庫納付しなさいということになっていますね。これは、昨年の暮れ、三大臣合意された。スキームとしては自民党も実はこうした処理法案を議員立法で出していました。額が違うんですね、額が。一兆二千億円も国庫納付しろと。これは多過ぎますよと。幾らとは言いませんが、財務大臣と国交大臣とよく相談しながら、しかしながら五千億とか六千億とかいうオーダーじゃないかと。残り分については、JR三島、貨物の経営の支援であるとか、あるいはまた並行在来線問題であるとか、あるいはまた整備新幹線について、これはいろんなやり方あると思いますが、玉突きで債務償還引き受けてその部分をまた建設費にある程度回していくとか、オーダーが違うんです、オーダーが。私どもの自民党の考えと三大臣合意とは。

しかしながら、少なくとも国庫納付以外の、大体合計しますと、これ八千五百億ぐらいになりますね、この三大臣の合意の内容は八千五百億ぐらい。こうした支援、これ以上の支援というのはどうしたって必要なんですね。日本全部元気になっていくためには鉄道のネットワーク頑張らなきゃいけませんし、整備新幹線だってきちっとやっていかないと、今回の例でも分かるように、いかに旅客あるいは輸送全体に鉄道網が大事かということがよくよくお分かりいただけたと思うんです。そのための足腰強くするためにこの利益剰余金等はもっと使うというような形にしていかないと、とても今回の大震災見ても、これはきっちりやっていかなきゃ駄目だな、つくづく思われたと思うんですよね。

そういう意味で、この三大臣の合意は、私どもは反対なんですよ、一兆二千億じゃなくて、国庫納付もっと少なくして、そして支援、整備に手厚くと、こういう形でやっていかないと日本の鉄道網はがたがたになりますよということは申し上げながら、しかし、事柄として、JR三島、貨物への支援や整備新幹線や、それから並行在来線、こういうことに対する支援というのは、これ以上に手厚くしてくださいね、この三大臣合意は最小限ですよね、ここだけは確保してくださいねということを、これ国交大臣に伺って財務大臣、財務大臣、お願いします。

国務大臣(野田佳彦君)

野田佳彦国務大臣

鉄運機構の利益剰余金の扱いにつきましては、昨年の暮れ、当時の馬淵国交大臣と、それから玄葉国家戦略担当大臣と私の間で三大臣合意を行いました。これによって利益剰余金を、委員は御意見違うということでございますけれども、一・二兆を国庫納付するとともに、八千四百九十億円規模の鉄道関連施策を講ずることについて合意をいたしました。この合意はきちっと遵守をしてまいりたいというふうに思います。

国務大臣(大畠章宏君)

ただいま財務大臣からも御答弁がございましたが、私もこの三大臣合意というものを守りまして、JR三島、貨物会社への支援、整備新幹線の着実な整備、並行在来線への支援について、御指摘を踏まえてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

佐藤信秋君

しっかりして頑張ってくださいね。そして、今回の大震災を見たら、いかに輸送網の中でやっぱり鉄道が頑張らなくちゃいけないか、あるいは旅客は昨日、おとといですかね、全線開通。いかに新幹線大事かということがつくづく分かっていただけたと思いますので、取組をしっかりお願いしたいと思います。

次にもちょっと資料を用意しましたけれども、高速道路保有機構から国庫納付二千五百億すると、こういう計画になっていますね。無料化の社会実験一千億をやめる。特にこの国庫納付の方は、資料の二枚目に示しましたけれども、三兆円の利便増進事業、その中で生活対策が〇・五兆、緊急総合対策が二・五兆。これ実はもう二年間で一兆円使っていますよね。残りの二兆円を使って、平日二千円ですか、上限、それから休日千円を続けて、頑張っても三年ぐらいと。今でさえも、このままでしたら、実は十年間この緊急総合対策で割り引こうと、こういうことが三年で終わるんですね。今度、生活対策の方の五千億の中で、一年間二千五百億ですね、これに相当する額を国庫納付しろと、こういうことになったら、三年で終わる平日深夜割引とかそういうのも、今度は四年後どうするんだろう。要は、こういう全体の利便増進というのをどう考えるのかという議論なしに、納付金だけ何とかなりそうだから二千五百億よこせと、こういうふうに見えます。

池口副大臣、こういうことでいいんですか。よろしいんでしょうかね。

副大臣(池口修次君)

池口修次副大臣

お答えをいたします。

佐藤委員が言われましたように、この三兆円のお金の経過というのは、ここに書かれたとおりの経過でございます。そういう意味で、我々としても、今回、四月から新しい料金でスタートさせていただきたいというのにつきましては、平日、休日の上限も含めて考えたわけですが、これはある意味、三月末の段階で、一定の評価をいただいたという理解の上でやめるということは判断をすべきじゃないということで、委員が話したように、多少前倒しでそれを使わせていただきたいということで提案をしようと思っていました。ただ、この震災が起きましたので、これについては、新しい制度の導入は今停止をしております。

その中で、今回、一次補正をどう組み上げるかという中において、閣議で、無料化実験の一千億、これと料金割引の二千五百億円を一次補正の財源として使いたいという話がありました。我々としては、基本的にはこれは利便増進のお金ですので、ユーザーの高速道路利用をしやすいことに使うべきだというのはこれはあるわけですけれども、震災というのを絡めて三大臣の合意をしていただいた上で、これについて国土交通省として理解をしたということでございます。

佐藤信秋君

ということで、議論なしなんですよね、確かに。いかなるサービスが望ましいかというようなことを御議論いただいた上で貴重な財源をちゃんと使わないかぬと、こういう問題だと思うんですね。それがたまたまこの震災だというので、この生活対策の部分だけ割引もうやめちまおうと、やめた上で国庫納付だと。これは恐らくなかなか冷静になった国民は理解がし難いということになるんだと思います。

したがいまして、実は二兆円の緊急経済対策が残っていると。こういう中で、三年しか、実はこれがちょっと恐ろしいところなんですね、もう十年やるつもりがあと三年、つまり五年しか使えないというか、ですよね。そうすると、今度いかなる利用しやすい料金体系にするかというのは別途きちっと考えないけませんが、これ以上ここを縮めてといったら、全体の料金体系を全くなしに、この高速道路の機構から更に国庫納付するというようなことだけは絶対ないでしょうねと。二千五百億はもちろん反対なんですよ、反対なんですが、これ今回限りの措置でしょうね、幾ら何でもという点について、国交大臣からまずお伺いします。

国務大臣(大畠章宏君)

ただいまの点でありますが、私もこの措置というのは今回限りの措置であると、こういうことを強く認識しているところであります。

国務大臣(野田佳彦君)

今回は震災対応のための財源として二千五百億円ですね、国土交通大臣にも御理解をいただきまして合意をして活用させていただくことになりました。

今後の取扱いについては、この三大臣合意にも書いてございますとおり、今後の取扱いについては利便増進事業の趣旨を踏まえと、これは高速道路利用者の利便の増進と道路交通の円滑化と、そういうことが趣旨だと思いますが、こういう趣旨を踏まえて適切に対応していきたいというふうに思います。

佐藤信秋君

しっかりと今回限りという御趣旨だったと思いますので、本当は今回も駄目なんですよ、もちろん。絶対駄目なんですけれどもね。取りあえず、今回限りという御答弁だと、こう理解します。

そこで、最近、東北の高速道路、無料の方向で検討しようかというお話を総理が昨日ですかね、おとといですか、おっしゃっていますね。これがまたそうなんです。やっぱり財源どうしようかという問題を抜きにしてアイデアだけ出されても、おかしいですよね、これ。したがいまして、本当は社会実験一千二百億のうち一千億を、無料化の社会実験、今回削ったわけですね、削減したわけですね。だから、それと、おやりになるんならそういうことと連動して本来おやりにならなければいかぬのだろうと、まあ検討中ということでしょうけれども。仮に本当におやりになるとすれば、やるかやらないかは今私は問うているわけじゃありません。おやりになるとすれば、今年の分、まだ予備費が、今回の補正で予備費が三千億円、三千五百億ですか、計上されている分の予備費というのは計上されたままになっていますよね。幾分か、五百億ぐらい使って、三千億ぐらい残っているんでしょうかね。

そういうことをきちっと財政的な裏付けしながら東北の無料化というのも御検討なさるべきだろうなと思いますが、手当てを考えながらですね。いかがでしょうか、大臣。

国務大臣(大畠章宏君)

大畠章宏国務大臣

東北道の無料化といいますか、今回の大震災を受けて、被災地の経済復興、あるいは農林水産漁業も壊滅的な打撃を受けておりますし、また東北地方が非常に日本の先進的な製品の部品の供給基地であるというのも分かりました。そこの再生のためにどういう対策があるのかと。

その一つとして、予算委員会でも、また国土交通委員会でも御提起をいただきました高速道路の無料化、これはもう社会実験という形ではなく、経済の再生のためのものでありますが、私どもとしても、各党のそのような御意見をしっかりと受け止めて、そして今御指摘のように、相当程度の財政措置が必要であると、これも認識しておりまして、財政当局とも連携を取りながら、何とか各党の御意見等がまとまるのであれば私たちも真剣にそのことについて検討し、一つの結論を得るように努力をしてまいりたいと考えているところであります。

佐藤信秋君

財務大臣、どうでしょう。

国務大臣(野田佳彦君)

今回の補正予算の財源として社会実験を一部凍結という形で一千億円の財源を確保させていただきました。

東北において無料化をするかどうかということについては、今後の総合的な復興方針の中で与野党の議論を踏まえながら検討させていただきたいというふうに思います。

佐藤信秋君

佐藤信秋

そこは本当にどういう形でサービスを向上して元気出してもらうかというのをよくよくお考えいただく必要があるんだと思います。

私は、実は三月の二十日以来、ずっと車で、自分でガソリン持ちながら、東北へ行っています。最初のころはもちろんすくすくでした。ただし、三月の二十六日になりましたら、磐越道、一車線しかありません、片側。大渋滞でガソリンも尽きかけたと、自分でずっと持って走っていますから。で、この前、東北道へ行きましたら、今度は東北道も福島から大渋滞、普通四時間ぐらいで行けるところを六時間掛かりました。今、三陸道も随分込んでいます、これも片側一車線です。

ですから、そういう建設なり、四車化、あるいはミッシングリンクをなくすと、こういうことと、更にどういうサービスが今東北で求められているか、よくよく両方お考えいただかないと、単純に無料化した、大混雑だと。無料をどうせやるとしても期間限定、三か月とか半年とか、あるいは、いや大渋滞してどうしようもないから何とかしようということにならないように。そういう意味では、無料がいいのか、余り良くないと私は思いますが、サービスといいますか、料金水準を低く、使いやすいように取りあえずするとか、いろんな工夫があると思います。そこは十分議論しながらやっていただかないと、単純に無料といったら、今の渋滞の状況、私、肌身で感じていますから、これはよっぽど気を付けないと、また逆にとんでもないことになる。

それと、一つは、せっかくの機会ですからお願いをしておきたいんですけど、そういう状況ですから、既に大渋滞が始まっていて、今度の連休でも、今そのさなかなわけですけど、特にあさってから大変危惧しています。親戚にお見舞いにとか、いろいろな被災地へ向かっていかれたい方、おられるとは思いますが、しかしながら、これ大渋滞して、またガソリンがない、あるいは全く緊急車も動けないと、こういう状態になっては困るので、そこの部分はこの問題と別にしても、このゴールデンウイークをどんなふうにやっていただくかと、国民の皆様に、そこは何かの発信をしていただく必要があると私は思いますので、政府の中でよくよく御検討いただきたいと思います。

そういう意味で、質問、最後であります。以上でありますが、是非是非しっかりと、被災地が本当に復興できるためにどうするのかという点についてくれぐれも、何度も何度ももう国土交通大臣にもお願いしていますから、仮設住宅の話も、仮設の建設ではないですね、アパートも含めて、取りあえず一時避難所からどういうふうに住み移られるか、取りあえずの仮設というか応急の住まいをですね。そして、恒久的にどうするか。ここのシナリオを、ガイドラインを書いてあげないと皆安心しません。

それで、今まだまだ多少の混乱が、たくさんの混乱があります。たくさんの混乱があります。だから知事や市町村長も悩んでいますが、そこは、こういうふうな住まい方、移り方、こういうふうにしていくんです、いけるんですよとかいうのをきちっとお示しいただく必要があると思います。これもよくよくお分かりだと思います。

私も、じゃ、大臣たちお疲れでしょうからこれで終わろうかと思いますが、厚労大臣に一言。

二十九日に災害救助事務を、厚労省で事務手続やってあげるよという通知出していただきました。お願いしておきたいのは、だからこそ細々いろいろおっしゃらずに、受け入れた側の県が終わりましたと、こう言って出したら、これだけやりましたと出したら、是非事務手続を簡素にしていただくようにお願い申し上げまして、これで私の質問を終わります。