177回国会 国土交通委員会 第13号
2011年5月26日(木)午前10時開会
 

本日の会議に付した案件
◇政府参考人の出席要求に関する件
◇国土の整備、交通政策の推進等に関する調査
(被災地域における下水処理施設の復旧及び合併浄化槽の整備に関する件)
(震災の教訓を踏まえた多重的な交通網の整備の必要性に関する件)
(災害廃棄物処理事業等における地方負担の軽減に関する件)
(住宅エコポイント事業終了後の施策の在り方に関する件)
(多量の放射性物質を含む下水汚泥の処理に関する件)
(避難施設を核とした被災地域のまちづくりに関する件)

佐藤信秋君

佐藤信秋

自由民主党の佐藤信秋でございます。岡田委員に引き続きまして、お時間をいただきます。

最初に、大臣、資料も付けましたが、今回の補正予算で地方の負担が出てくる分、総額、適債、非適債分かれておりますが、三兆円、国費が二兆三千億円の中で地方の負担が七千三百億出てくるんですね、計算上は。この七千三百億のうち四千四百億近くが災害復旧事業なんですね。

実は、こういうふうに出てくる、いわゆる補助事業として対象になる、あるいは直轄の復旧事業の対象になる、実は地方団体にとってはこれ以外の負担というのが物すごいたくさんあるんですね。こうした拾い切れない部分というのは物すごいたくさんあります。それを考えますと、そもそもこの地方負担なるものは十割国で負担なさったらどうでしょうということをずっと申し上げてきております。

なかなか、法律改正、救助法でいえば救助法の法律改正、こういうことが必要になるわけですけど、なかなか政府、重いおみこしを上げてくださらない、こういう状況ですから、だとすると、これ予算措置で、第二次補正、予算措置で、例えば我々は災害臨時交付金とかいろんな言い方をしていますが、我々は災害臨時交付金、予算措置として、本当に費用がたくさん掛かっている公共団体に対してはそれに応じて自由にお使いいただける、しかしながらそういう傾斜配分をきちっとする、そういう交付金というようなものが必要になるんではないかと。

こういうことが現地でいろんな対策を打つ上での手かせ足かせになっている面もあります、現実問題として。ですから、是非そうした災害臨時交付金のようなものをお考えいただく必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。

国務大臣(大畠章宏君)

国土交通行政に精通されている佐藤議員からの御質問にお答えを申し上げたいと思います。

ただいまの御質問は、まさに地域の自治体の首長さんの御意見等あるいは今復興に非常に苦労をしている自治体の首長さんのお話を伺った上での御質問と受け止めさせていただきます。

いわゆる交付金等を新たに災害復旧事業のために創設してはどうかと、こういう御提言でございますが、現在の制度については今御指摘をいただいたとおりでありまして、なかなか、自治体が非常に住民の暮らしを守る上で壊滅的な打撃を受けていて、その中で自治体も応分に資金は出しなさいよと、こういう制度が本当に今回の大震災を乗り越える上での制度として正解なのかと、こういう御質問でございます。

現在、激甚災害の指定により補助率のかさ上げが行われるとか、あるいは地方の負担分についても交付税の措置がとられているとか、こういうことで地方の負担を極力抑える仕組みにはなっておりますが、しかしそれだとしても地方としては耐えられないんじゃないかという御質問でございます。

私といたしましては、国土交通省内からも情報をいろいろ受けておりますし、他の省庁とも連携を取っておりますが、何とか被災地の自治体と相談しながら復旧事業を適切に行うために、当然、今先生からお話があるように、第二次補正でこのような支援策というものを工夫してやったらどうかということは私自身も真剣に考えさせていただきたいと現在考えております。

佐藤信秋君

是非、実現をしていただきたいと思います。

そこでなんですね、復旧、救助、こういう中に瓦れきの処理というのが両方に入ってきます。この資料の一でいえば、災害復旧あるいは災害等廃棄物処理事業、瓦れきの処理が入ってきます。応急復旧と、こういう意味で、公物管理の世界で、今回の災害復旧事業一兆七千億円の中にどのぐらいの公物管理という面での瓦れきの処理が入っているか、見込まれているか、お分かりであれば教えてください。

政府参考人(小澤敬市君)

お答えを申し上げます。

瓦れきの処理につきましては、廃棄物処理法に基づきまして、環境省を中心に各府省が連携して対応させていただいているところでございますが、国土交通省といたしましても、被災いたしました公共土木施設の機能の早期回復を、復旧を図るために、所管の公共施設であります道路、河川、港湾等に係る瓦れきの撤去について全力を挙げて取り組んできているところでございます。

国あるいは地方公共団体がこういった災害廃棄物の処理を行う場合には、維持管理や災害復旧事業の一環として対応することが可能になっているわけでございますが、今御指摘がございました先般成立いたしました補正予算では、公共土木施設などについての災害復旧事業費七千七百五十一億円、枠がございますが、その枠の中で対応させていただいていると、そういう状況でございます。

佐藤信秋君

佐藤信秋

明晰な官房長らしくなく金額が出てこない。幾ら見込んでいると、こういう話にはなっていないということなんですね、要するにね。そこの見積りはこれからといいますか、まだまだ恐らくこの災害復旧一兆七千億円という、地方負担も含めての議論ですが、これにはるかに倍した総費用が掛かっていくんだと、こういうことで理解すべきかと思います。

今、仮置きしていますけど、最終処分までそれぞれ本当は、公物管理の世界でいえば最終処分まで持ち込まなきゃいけない。しかしながら、仕分ができているわけじゃないですから、公物管理、道路の上、河川にあったものがこれですよというふうに仕分してあるわけでもないですから、そういう意味では、幾ら現在見込んでいるかという点について難しいのは分かりますが、言ってみれば、見込んでいないと思ってもいいぐらいのことかもしれませんですよね。

そこでなんですね、一方で、災害等廃棄物処理事業、瓦れきの分として四千二百億、これまた地方負担があって困るんですが、二千五百万トンぐらいあるということでしたよね。そうすると、一トン当たり大体中越地震のときに三万三千円でしたかね、一トン、最終処分まで。今回はそれじゃとてもとても収まらない。恐らく、五万とか六万とかいうオーダーの費用が掛かるんだろうと。ですから、全くの仮定でいえば、五万としたら一兆二千億ですか、六万としたら一兆五千億。四分の一ぐらいしか見ていないと、こういうことだとは思うんですが、しっかりと瓦れき処理やりますと、市町村に、地方公共団体にできるだけ迷惑掛けないようにと、これはさっきの大臣の御答弁と同じように努力をしていただくと、こういうことになるわけですが、環境省、どうでしょう。

政府参考人(谷津龍太郎君)

災害廃棄物処理のお尋ねでございます。

私ども、先生御指摘のように、現在のところ、二千四百九十万トンの発生量というふうに見積もってございます。これは限られた情報の中で推計したものですから、処理が進むにつれてこの数字は変わってこようかと思います。そうした中で、補助率のかさ上げ、補助裏、いわゆる補助裏については地方財政措置ということで、基本的には国が一〇〇%負担するという考え方で今後もやってまいりたいと思います。

佐藤信秋君

というのが資料三に考え方を付けさせていただいているんですけど、今の国が一〇〇%というのが、実は公共団体にとっては、交付税措置の部分でいえば、あるいは特交の措置でいえば、見ていただいているかどうか分かりませんよねと、こうなるんです。だから、一〇〇%国費、国でと、こう言っているのが信用されていないというのはお分かりだと思いますが、結局のところ、四千二百億の処理でも一割以上の負担が出てくる。さっき申し上げましたように、一兆二千億とか一兆五千億とかいうようなオーダーになってくると、一体幾ら負担が出るだろうと。

しかも、超過単価、これはもうお願いですけど、環境省の要領を見ていると、運搬費は機械損料と人件費だけなんですよね。これじゃ作業できないんです。分かりますよね。諸経費必要ですよね。全体の計画立てたり、マネジメントも要るんですね。そこは見てくださいね、そこは見てください。

お答えがあれば、一言で。

政府参考人(谷津龍太郎君)

御指摘いただきました収集運搬に係る諸経費の扱いでございます。

これまで必ずしも明確になっていなかったため、私どもに対しましても、現場から数多くの問合せをいただいてまいりました。このため、財政当局とも調整をいたしまして、この度、公共土木の災害復旧事業と同様の諸経費の扱いとさせていただくことにいたしまして、近くその旨を明確に自治体にお示ししたいと思います。

佐藤信秋君

ということで、そこの改善はしていただけると、ありがとうございます。

そして、総額がはるかに足りない、これはお分かりだと思います。

そこで、じゃ、現地の市町村長、知事さんに聞くと、いや、瓦れきの何倍も津波堆積物、ヘドロがあるんだ、こうなるんですね。確かにそうなんです。二十センチぐらい積もっているとしても、ヘクタールでいうと、一ヘクタール当たりでいうと、二十センチでどのぐらいでしょう、二千トンとか三千トンとかいうオーダーになるんですね、これ。ですから、すごい量があるんだと。そうすると、津波堆積物、いわゆるヘドロ、この処理もきっちりやっていかなきゃいけない。現地、実は頭抱えているんですね、このヘドロの方も。

処理方針、簡単な処理方針ですぐやってくださいと、こういう話にしていかないとなかなか大変。どうでしょうかね、環境省。

政府参考人(谷津龍太郎君)

御指摘の津波堆積物でございます。

現在、宮城、岩手、仙台市などの自治体の方々にも御参加いただきまして、また学識経験者あるいはゼネコンの専門家、入っていただきまして、処理手法の検討を今進めているところでございます。

現在、私どもが処理指針として当面お示ししているものにつきましては、腐敗性のある可燃物、あるいは油を含んだものについては、例えばセメント原料としての有効利用、あるいは焼却、最終処分の埋立て、こんな処理方法が適していると思ってございます。これ以外で有害物質などが含まれておらないような水底土砂と同程度の性状のものにつきましては、異物を除去した後に、地盤沈下した場所の埋め戻し材、あるいは土木資材としてのリサイクル、あるいは海洋投入も今後進めていっていただければというふうに考えております。

佐藤信秋君

佐藤信秋

ということで、できるだけ分かりやすく運用できるように、地元の市町村長や知事さんの声をできるだけ入れてくださいね。

瓦れきの処理もそうですけど、大変細かく御指示が行っているものだから、ほんまにできるかいな。家電製品、全部リサイクルですよね、一応原則は。自動車もそうですよね。そういう作業しながらやっていたら、真面目に本当にそのとおりやっていたらこれ進みません。だから、きっちりやらなきゃいけないところはあるとしても、そこは現地に応じて応用動作が利くようにしてあげないと、瓦れきは処理が遅れている、あるいはヘドロの処理が遅れるこの原因の一つにもなっているというところがあるので、そこは現地に即してしっかりと処理が進むようにやっていただきたいと思います。

そして、時間も迫ってきました。先ほど岡田委員から、多重性といいますかね、日本海側の言ってみれば新幹線あるいは港湾ですよね、それから高速道路、まあ高速道路はこれ太平洋側も含めてまだまだミッシングリンクと言われる部分が多いわけですし、こうしたことをしっかりと整備を進めていただきたいと思います、私の方からも。

そこでなんですね、この前、ごめんなさいませで、ここの答えは要りません、もう既に要望申し上げているところでありますので。そこで、現地で随分とどっと地元の建設産業が、瓦れきの処理、道路の啓開や何か、本当に自分が被災しながらも努力してくれているんですね。沿岸部は特にもう重機がなくなっています、津波で。公共工事で工事中の重機がなくなって、自分持ちの分とリースの分とあるんですね、リースの分もこれ弁済せにゃいかぬのです。二重ローンの前にそもそも弁済金が出てくる。工事中ですよね。それから、ここの取扱いの仕方は恐らく積算上もいろいろ問題があると思うんです、処理の仕方。ちゃんと見てやらなきゃいけないんですね、ある部分は。

そういうことも含めて、いろんな検討していただいていると、こういうことなんで、一言、幾つかの面から検討しますということをお願いしたいと思います。

政府参考人(大森雅夫君)

御指摘の件につきましては、建設業団体の方々から国として何らかの対策を講じるよう要請を受けているところであります。

先月の国土交通委員会においても先生から御質問をいただきましたが、それ以降、国土交通省としては、被災地の中小企業に対する支払条件の変更等の柔軟かつ適切な対応について経済産業省からリース業界への要請をしている旨、建設業団体へ通知したところであります。

引き続き、どのような措置が可能なのか、関係省庁とも連携の上検討を進めてまいりたいと思います。

佐藤信秋君

佐藤信秋

ということで、そういう面からの検討と、それから契約の問題があるんですね。機械はなくなった、だけど、契約上は機械を運搬してどこかに戻すことになっている。あるいは、工事の一時中止していますから、じゃ、その間の損料どうするかとか、契約上の契約変更をせにゃいかぬという問題もありますから、その辺は省の中でよく検討していただきたいと思いますし、会計検査等の問題もあるかもしれませんから、よく相談しながらやっていただきたいと思います。

最後になります。

五%の留保、これは早く解除しないと、全国を元気にしながら震災対策やっていかなきゃいけないのに、これ大変な状態です、今。なかなか被災地以外も契約が出てきません。前倒しでやってくださいということと、五%留保をやめましょう、この二つがどうしても大急ぎで必要だと思います。

そして、さっき申し上げましたように、今見ていただいている一次補正は、大体私の見るところせいぜい三割ぐらいかな、あるいは場合によっては二割ぐらいかな、こんなふうな規模でもあります。大急ぎで二次補正をやる、これがどうしても必要だと思います。

全国の建設産業が元気出さないことには経済も回りませんし、特に被災地の建設業は物すごく一生懸命我が身を顧みずに仕事をしています。なかなか映像なんかに出ないので困っておるんですけど、実際問題としては自分の被災も顧みずに一生懸命やっています。

そういうことも含めまして、大臣、五%留保の解除と前倒し執行とそして二次補正を早く大型のものをきちっと組む、こういう御決意を一言で。

国務大臣(大畠章宏君)

ただいまの公共事業関係の予算の五%執行の留保という課題についての御質問を賜りました。

この留保というのは、決して予算を留保してその分だけ取り上げてしまうと、こういうことではなくて、まず留保してほしいと、こういう要請に基づいて留保しているわけでございますが、いずれにしても、どんな形で復興を行っていくのかと、こういうことをいろいろ検討する中で、当然ながら第二次補正の中で復興に向けて、あるいは復旧復興に向けての補正予算が組まれるものと考えておりまして、そういうものの状況を見ながら、私どもとしては当初の計画のとおりにこの公共事業というのはしっかりと進めなければならないと、そう考えているところであります。

いずれにしても、御指摘のように、全国各地で公共事業というものが必要な箇所について必要な形で予算付けされておりますので、早急にこの五%の留保というのが解消できるように私どもも一生懸命努力をして、地域の方々が安心して生活ができる環境をつくるように更に努めてまいりたいと考えているところであります。

佐藤信秋君

ありがとうございました。