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179回国会 東日本大震災復興特別委員会 議事録(1)
2011年12月8日(木)午前9時開会
 
本日の会議に付した案件
◇政府参考人の出席要求に関する件
◇復興庁設置法案を議題



委員長(増子輝彦君)

関連質疑を許します。佐藤信秋君。

佐藤信秋君

自由民主党の佐藤信秋でございます。宮沢洋一議員の関連で質問させていただくという機会をいただいて、ありがとうございます。

最初に、三月十一日に大震災が発生して、津波と原発事故、それ以来、日本の国民の皆様もいろいろ危機管理とかいろんな面で意識がお変わりになったというふうなこともあろうかと思います。そうしたことを踏まえながら御質問させていただきたいと思うんですが。

自民党は発災後すぐに、今、宮沢議員が申し上げたように、復興基本法もう、再生基本法ですね、すぐ準備しました。そして、何よりも国が責任も費用も持つと、この姿勢でいきましょうということをさんざん呼びかけて、行動もしました。私自身も、三月の二十二日でしたか、当時、野田総理、財務大臣でいらっしゃいました。先ほどおっしゃった地方に費用負担をさせようたって無理なんです、地方の負担をゼロにしましょう、三月二十二日に申し上げました。なかなかうまくいきませんでした。ずうっと断られ続けましたが、今度の三次補正で、内容的には地方の負担はゼロにしようと。これ、実は七か月掛かっているんですね。遅過ぎる。遅過ぎる。もっと早くそういうことを明確にしておけば、地方の市町村長や知事がもっと早く動けるんですね。

私、ずっと週に一回ぐらいの割合で被災地に行かせていただいています。もう三十回を超えました。市町村長や知事と大体会って、いろんな相談をします。そこが言っていたんですね、税金が入りませんよと。地方税入るわけじゃないですよね、被災地は、三県特に。予算がありません、動きようがありません、それぞれの役所の、役場の財務から言われるんですね。動けないんです。そこで一つ遅れが出てきた、随分。七か月遅かったと、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

ただ、その後、先ほどの基本法じゃないですけど、野党が一生懸命汗かかせていただきながら、議員提案、たくさん出させていただきました。実は質問の順番、資料が四になっているんですけど、一番後ろ。資料四をちょっと御覧いただいた方がいいと思います。(資料提示)

これ、野党が主になって、自民、公明、その他野党が主になって議員立法を提案して、そして成立したもの、十一本挙げさせていただいています。今回のこの復興庁の法案ももちろんそうですが、おととい成立した特区もそうです。再生基本法の中に野党提案で入れてあるんですね。そのほか、見てください。原子力損害賠償仮払い、あるいは瓦れき処理、あるいは二重ローン救済法、全部野党が提案させていただいて、で、委員長提案としてまとめていただいた。

こういうことで、要は、やっぱり復旧復興という面でいえば、制度、仕組み、予算、体制、こういうことをそろえていかないかぬので、これだけはすぐにというので大急ぎで野党が用意して、そして与党も最終的には乗っかっていただいてというので、この十二本。要望しておきますが、このうちの一本、私学助成の災害復旧、私立のですね、ここだけ参議院通過したけどまだ通っていません。残りは全部通っています。

そこで、総理、やっぱりこういう制度、仕組み、法律を復旧復興に向けて変えていく、これが議員立法で、議員提案で随分進んだ、結果としては。全体の速度は物すごく遅いですけど、こうした議員提案がベースになって進んだ。このことについての評価を、総理、一つ最初に伺います。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

佐藤先生御指摘のとおり、例えば議員立法では、これは復興基本法、瓦れき処理法、二重ローン等々ございました。それから、議員修正という形で復興財源確保法、復興特区法、そして今御審議いただいているこの復興庁の設置法案と、などなどですね。野党の皆様の御協力もいただいて復興のための道具立ての制度設計、大変すばらしいものを作っていただいていることを感謝申し上げたいと思いますし、加えて、予算も、一次、二次、これ復旧でした。そして、今般の三次、本格的な復興予算、これらの中身についても様々な御提起をいただきました。それの実現をほとんどできているものもあると思いますし、また次の予算に反映しなきゃいけないものもありますが、たくさんの御提言をいただきました。それから、三月二十二日の御審議の御紹介もございましたけれども、実質的に地方の負担をゼロにする工夫もお知恵をお借りしながらやらさせていただきました。

復旧復興という、我が国にとってのまさに国難とも言うこの状況において、党派を超えてみんなが力を合わせていただいている、そのことには深く感謝を申し上げたいと思いますし、これからも御提起をいただければと思います。

佐藤信秋君

ということで、これからもと。引き続きですね。

これ、「前へ」という本、御覧になったことはありますかね。副大臣は。平野大臣は。

これ、自衛隊とか整備局、それから現場の、現地の建設会社などなどが、先ほど行田委員の、五日間ぐらいで全部道路を切り開いていった、自衛隊が大変苦労しながらいろいろ救出活動をやってくれた、そういうことが書いてあります。後ほどお送りしますが、キーワードは前へだと思うんですね、今は。

したがって、これから必要な法律なんかも閣法でどんどん出してください、閣法で。このぐらい議員立法に頼った復旧復興というのは私は恐らく歴史に残ると思います。出てこないんですから、内閣から。是非これから前へと、頼みます。

そこで、修正案の自民党の提出者に伺いたいんですけど、さっき申し上げましたけど、今回のこの復興庁の法案と、それからおととい成立した復興特区、これいずれも、これだけはやろうというんで復興再生基本法の中に野党提案で入っていたと、その内容を具体化しようとしたらこうなってきたと、大きくとらえればこういうことだと思いますが、いかがですか。

衆議院議員(谷公一君)

委員御指摘のとおり、元々、復興基本法案、政府の原案には復興特区もありませんでしたし、事業実施の権限を持った復興庁、そういう考え方もありませんでしたが、与野党協議を得て、それらを組み入れて委員長提案の議員立法として成立したのが東日本の震災復興基本法でありました。したがって、その基本法を受けて特区法案そして今回の復興庁案、復興庁の修正法案、これができたものと考えているところであります。

基本法どおりの理念で出していただければ我々修正者もここまで苦労せずにもっとスムーズに法案が通ったのではないかと、そう思っているところでございます。

佐藤信秋君

 ありがとうございます。

という意味で、今度はこの復興庁の方の修正の基本的な考え方、先ほども議論ありましたから、あとポイント、例えば二点、三点、是非簡潔にお願いします。

衆議院議員(加藤勝信君)

佐藤委員にお答えいたします。

大きく言うと三つあるんではないかと思います。

一つは、今これ議論がありましたように、復興に関する予算について一元的に復興庁で監理をするということでございます。それからもう一点は、復興庁が、いわゆる統括、監理ということで普通の関係省庁より一段高い立場から指導監督をし、復興事業全体に係るプロセスを監理をしていくと。もう一つ挙げますと、復興庁の勧告について関係行政機関の長がその尊重義務を付加するということで、総合調整機能を行う権限をより高めると、こういう形でまさに復興庁そのものが復興全体の中で国の中核として対応できると。

それだけではなくて、更に言えば、復興局とか支所が設けられると思いますから、そういった組織がそれぞれの被災地域においてその機能を十二分に発揮できるように修正させていただいたと、こういうことでございます。

佐藤信秋君

ということで、是非、成立した暁には、総理及び復興庁の大臣、まあ先ほど来のお話でどなたがおなりになられるか分かりませんが、有効にこれをしっかりと、この復興庁という組織、仕組みを使っていくというのが大事だと思います。

総理、一言評価をお願いします。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

修正の中身は今加藤先生お話しのとおりだと思います。実施権限が相当強まったこと、総合調整権限も、今勧告権のお話がございましたけれども、これもより実効性が担保されたこと、それからもう一つは、やっぱり大臣、副大臣、副大臣は二人でありますけれども、行政改革の観点もあるでしょうけれども、大幅な実務が増える分、そういう形の拡充もお許しをいただいたことであります。

そうした修正の趣旨を踏まえて、早急に復興庁を立ち上げて、本当に力強く復興ができるように頑張っていきたいというふうに思います。

佐藤信秋君

そこで、今、体制、仕組みというか、誰がどういう、さっきの事業実施の話もありました、誰が事業を実施するか、仕事をやっていくか、予算配分していくか。これは復興庁で強力に調整していただけるということで安心していますけれども、実はちょっと現地で困っているのが除染なんですね。困っていることたくさんありますよ、たくさんありますが、除染の問題でいきますと、警戒区域それから計画的避難区域、これ、国が直轄でやることになっていますね、国が除染を。これは、それこそまたこれも議員提案で放射性物質の汚染に対して特措法を作って、そういうことにしましょうと、こうやりましたが、復興庁と、ができたときですよ、環境省とどっちが直轄の除染の主体になるんだろうな。一つ最初にこれをちょっと伺いたいんです。

大臣政務官(高山智司君)

佐藤委員にお答えいたします。

除染については国の責任でもう全力で取り組んでいくというものであり、具体的には、関係省庁から人材面も含めて協力を得ながら、環境省が中心となって必要な措置を講じていくということになっております。

佐藤信秋君

環境省がしっかりやっていただくと。

そうすると、ちょっとワンストップのサービス図を。(資料提示)これまだいろいろ議論あるとは思いますが、環境省が本当に地方の出先をしっかりと形成しながら直営でやっていくというか直轄でやっていく、それはそれで一つのやり方だろうとは思います。

次に、それ以外の部分は、いや、これたくさん問題あるんですよ、実際やっていこうとすると。ただ、それ以外の、今既に、大急ぎで今やらなきゃいけないと、こういう問題を市町村長や知事は抱えているんですね。ほかは、さっきの警戒区域と計画的避難区域以外は、まず市町村長さんやってくださいですよね、今は。それで国が代行することもできるのはできる。ただ、何分大急ぎですから、今実際住んでいるんですから。それから、警戒区域も避難区域も大急ぎで戻れるようにせないかぬ。今でもすぐ手を付けるべきではあるんですね。

問題は、これちょっと、せっかく総理に対する御質問なのでちょっと聞いておいていただきたいんですけれども、どうやったら市町村長は除染を、国もそうなんですけれども、本当は。除染をどんなやり方で、幾らぐらい費用を掛けたらどのぐらい効果があって、これがどうやって判断できるか、今、市町村長がですよ、判断できるかどうか、ちょっと教えてください。

大臣政務官(高山智司君)

佐藤議員にお答えいたします。

現在では、除染の方法でこれが一番いいというふうに確立されたものはまだ残念ながらございません。今、内閣府の予算ではございますけれども、モデル実証事業というのをやっております。その中で、どういう方法でやればどうやって下がっていくのかという今モデル実証実験を、今までは非常に小さい範囲での除染でしたけれども、初めて広い大きな面的な範囲での除染を行うことになりました。また、今月中には環境省から除染のやり方のガイドラインにつきましても県やあるいは市町村に対してきちんとお示しをさせていただきたいと思っております。

佐藤信秋君

せっかくお答えいただいたんですけど、多分ガイドラインも実際使えません、現地では。それは市町村長、実際やる立場になっている人の言うことをよく聞いてもらわないと。どのぐらい費用が掛かってどういう効果があってというある程度の目安、あるいは実証的、実験的にやるんだからどんどんやってくださいと、市町村長が、国も一緒にやりますと、先頭に立って一緒になってやりますと言っていろんなことをやってみないと、これガイドライン作ったら終わるというものじゃありません。何度も作っているんですから、ガイドラインはね。それで、除染技術カタログというのもあるんですよ。どうやったらいいと定性的なことが書いてあるだけですから、これ市町村長がやれるかといったら、全部、いや、これでやれといったって無理だからと、こういう話になっている。

だから、市町村はもちろんどんどんやってもらう。国も一緒になってどんどんやって、いろんなデータベース蓄積していく、今はその時期だ。九か月もたって、遅過ぎる。国が先頭になって、みんなと一緒になって、あなたたちはじゃこういうことをやってみてください、こういうことを我々はやりましょうと言ってどんどんと実証を重ねていかないと、これ多分、このままだとあと半年たったってどうやってやったらいいか、出てきません。総理、決意を。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

この委員会に入る前にちょっと委員長ともこの件については意見交換をしていました、除染の問題について。現地をよく御存じなので。

そこで、もう本格的にこれからやっぱり除染を国が前面に出てやっていかなければいけないんですが、まだそのやり方、知見がまだ十分出てきていません。ということは、もっと実証をやらなければなりません。ということが一つある。これはもう委員の御指摘のとおりです。

それをやっぱりデータベース化して、今もやり方ホームページなんかで公表していますけれども、これは現地ですぐ判断何かできる状況では私もないと思いますので、御指摘のとおり、今回は三次補正でも実証分ちゃんと入れていますが、もっと実証を増やすということ、データ化すること、あとはまだやっぱり人手不足の問題等もいろいろあるようでございますので、何としてもこれは除染を進めなければなりませんので、今御指摘のような課題克服に向けて努力をしていきたいと思います。

佐藤信秋君

ということなんですよね。市町村長の立場でいきますと、みんなとしゃべっていますけれども、あそこの校庭とあるいはこの農地と全部やろうと思ったらどうやって誰に頼んだらいいんだべと。それで、オーバースペックだとか言って、環境省が言っているかどうかは別ですよ、いやそこまでやることはないじゃないのと言われたりすると。

今はそうじゃなくて、まずやってみると、データを重ねていくと。幾ら掛かるか分からない。それは幾ら掛かるか分かるわけないですよね、初めてやるんですから。そこをデータベース蓄積していく、そのための今時期だと。だから、百億だ、二百億だというんじゃなくて、とにかくやってみようというんで責任持ってやってくださいと、国も責任持って一緒にやるからというふうにやっていかないと無理です、これ。そこをお願い申し上げておきます。

そこで、先ほど来、国の出先機関なんかの議論がありましたが、平野大臣、今回は実施はそれぞれの事業実施官庁、さっき環境省にも伺いましたけど、やりながらすき間を復興庁がきちっと埋めていくと、こういうふうにした、調整した。これは大変、宮沢議員からも、元々このぐらいやっていって当たり前じゃないかと、こういう議論ありましたけど、うまく使っていくということを是非しっかりとお約束はいただきたいと。

それからもう一つ、これに関連して、先ほど行田委員の話がありました。地方整備局や農政局、国の出先機関を今広域連合に移譲するとか、こういう議論があるんですかね、あるいは廃止するとか。これだけは総理に、これはいろいろ議論しても時間がもったいないですから、きつくきつくお願いしておきます。やっちゃいけません、今。きつくきつくお願い申し上げておきます。

そこで、これ復興庁、済みません、行ったり来たりで。ワンストップで予算一括してやる。そうすると、その予算の配分というのは、先ほど来もありましたけど、実は最初に地方の要望ありき。要望というよりは私は今は意欲だと思います、意欲、意欲と準備。そして、汗と労力かきながらこういうことだけはやりたいと、こういうふうにして、ああ、ここまで到達してきたよと、その実施計画、例えば市町村でいえば。実施計画がこのぐらいまでやれるようになってきた。さっきの高台移転だって簡単じゃないですからね、物すごく難しいですよ。大汗かいています、みんな、市町村長は。それから、自治会の会長なんかとも一緒になって汗かいても、その話がすぐにまとまると限りません。

そうだとすると、そういうものを踏まえながら重点的にしっかりとした予算の配分、一括計上というのをやっていくと、こういうことが今回のこの復興庁の大きな機能の一つだと思いますが、この基本方針、配分の、予算配分ということを、是非、市町村長さんや知事さん、どうなるんだべなと思っていますから、教えてください。