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2011/6/6(水)
国土強靱化基本法案
平成24年5月25日 建設通信新聞




国土強靱化基本法案を了承
デフレ脱却、国づくりに投資
10年で200兆円 来月提出
自民調査会








自民党の国土強靱化総合調査会(二階俊博会長)は23日、大規模災害対応を含め新たな国づくりと地域社会構築を目的とした「国土強靱化基本法案」を了承した。総務会までの党内手続きを行い、6月上旬に議員立法として提出する。法案は防災・減災含めた大規模災害対応と日本海・太平洋など複数の国土軸形成による地域振興を目指す。具体的には、ソフト・ハード対策を合わせた事業規模として、10年間で総額200兆円の投資を念頭に置いている。事実上、新たな国づくりを通じて、自民党政権時代の財政再建路線を一時的に留保し、デフレ経済解消に向けた積極的な財政路線に転換する形だ。

国土強靱化基本法策定プロジェクトチーム(脇雅史座長)が提示し、同調査会が了承した国土強靱化基本法案の最大の特徴は、これまでの縦割り行政の所管を横断的にし、大規模災害対応やネットワーク整備を主眼にした地域間交流にとどまらず、日本経済維持・向上、農山漁村の産業振興、有人・無人含めた離島保全や地域コミュニティー維持・活性化まで、ソフト・ハード両面での国づくりを求めている点だ。

また、これまで一方の考え方に偏りがちだった国土・経済政策については、「アウフヘーベン(止揚。ヘーゲル弁証法の基本概念)」を取り入れ、「集中と分散」「自由な競争促進と平等の確保」という、相反する命題を調和させ統合し、新たな国づくりを目指すことを理念として明記したのも特徴の一つ。

具体的には、国に対し総合的・計画的に行う施策を盛り込んだ「国土強靱化基本計画」と、三大都市圏など広域圏単位の施策を行う「広域地方国土強靱化計画」の策定と実行検証を義務付けた。

また、都道府県と市町村に対しても、「都道府県国土強靱化計画」「市町村国土強靱化計画」の策定を義務付ける。

その上で、国が行うべき基本的施策も、災害対応や地域交流など各施策ごとに例示。さらに、「国家緊急事態庁」や「国土庁」「経済企画庁」「科学技術庁」の創設も念頭に、緊急事態対処、国土政策、経済政策、科学技術政策を担う組織のあり方検討も明記、検討結果によっては別途、設置法を制定することも盛り込んだ。

脇座長は法案について、「大規模災害への対応や地域社会はハード(インフラ)だけではできない。今後の産業のあり方や、人の住まい方を考えると同時にデフレからも脱却しなければならない」と法案への理解を求めた。

党内で円高・デフレ問題対応議論を進めている委員会の竹本直一座長は、「デフレ脱却への投資は世界へのメッセージになり間違いなく良い効果をもたらす」と評価。

さらに町村信孝議員も「成長戦略と国土強靱化を進めることで、財政健全化の取り組みは一定期間遅れても構わないという明確なメッセージを自民党として打ち出すべき」と、デフレ脱却と新たな国づくりへ建設国債を増額していくことに理解を示した。

〈基本法案で示す基本的施策〉
(1)東日本大震災からの復興推進
(2)大規模災害発生時の円滑・迅速な避難・救援確保
(3)大規模災害に対し強靱な社会基盤の整備など
(4)大規模災害発生時の保健医療・福祉の確保
(5)大規模災害発生時のエネルギーの安定供給確保
(6)大規模災害発生時の情報通信確保
(7)大規模災害発生時の物資などの供給確保
(8)地域間交流・連携の促進
(9)わが国全体の経済力維持・向上
(10)農山漁村・農林水産業の振興
(11)離島の保全など
(12)地域共同体の維持・活性化