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2014/10/9(木)
新聞記事
平成26年10月8日 建設通信新聞



品確法運用指針の骨子案
歩切り禁止 義務色濃く
国交省 発注者間連携も推進
予定価格は原則事後公表







国土交通省は7日、改正公共工事品質確保促進法(品確法)に基づく発注関係事務の共通ルール『運用指針』の骨子案をまとめ、地方公共団体や建設業団体などに送付した。年末の指針策定に向け、11月7日まで意見を募る。歩切りや予定価格に関する記述は、「努める」などの表現ではなく、それぞれ「行わない」や「原則事後公表とする」と明確に記し、義務的な色合いを強めた。市町村を支援するため、地域ブロックごとに組織されている発注者協議会を活用することも明記した。国は、運用指針に沿った発注事務が行われているかを定期的に調査・公表する。

運用指針は、地方公共団体を含めた発注者共通のルールとして、新設と維持管理の発注関係事務において、▽調査・設計▽工事発注準備▽入札契約▽工事施工▽完成後−−の各段階で考慮すべき事項のほか、多様な入札契約方式の選択方法などを体系的にまとめる。ダンピング防止や入札不調・不落への対応、社会資本の維持管理、中長期的な担い手の育成・確保など、公共事業を取り巻く重要課題の解決に資することを目的としている。

国交省は7月に骨子イメージ案を作り、関係者からの意見聴取を実施。それを踏まえ、今回骨子案をまとめた。文中には、参考となる既存のガイドラインや要領なども記している。

受注者の適正利潤の確保という観点では、最新の労務単価や資材などの実勢価格を予定価格に適切に反映し、最新の積算基準を適用することなどを明示。設計書金額の一部を控除して予定価格とする“歩切り”は「行わない」とした。現場実態に即した施工条件の明示などにより、適切な設計図書の作成も求める。

予定価格は原則として事後公表とする。事前公表の結果、くじ引きなどの適正な競争を損ねる弊害が生じた場合は、速やかに事前公表の取りやめなどを行う。低入札価格調査制度や最低制限価格の活用を徹底し、設定した基準価格は入札前に公表しない。

入札参加者には、入札金額の内訳書の提出を求め、入札金額と内訳書総額の著しい相違といった不備が見られた場合は、当該内訳書提出者の入札を無効にする。

入札不調・不落の原因となる標準積算と現場実態の乖離(かいり)を埋めるため、見積徴集方式の活用などを促す。場合によっては透明性などを担保した上で、随意契約の活用も検討する。

施工条件の変化に応じ、契約変更やスライド条項の適切な運用を実施。企業側のキャッシュフローに配慮し、前金払制度の拡充や中間前金払・出来高部分払制度の活用などを図る。

発注者間の連携を強化するため、一定の地域単位で審査・評価や監督・検査、工事成績評定、積算システムなどに関する基準類などの標準化、共有化を進める。骨子案では、連携体制の構築という項目を新たに追加した。地域発注者協議会などを通じ、市町村の支援や発注関係事務の実施状況の把握などを行う。

運用指針は2部構成で、後半には多様な入札契約方式の選択・活用方法を体系的に記す。各種方式の概要や留意点を始め、工事の難易度や緊急度、政策目的ごとに、どういった方式が適しているかを参考に示す。