2014/12/10(水)
新聞記事
平成26年12月10日 建設工業新聞



業法の勧告権限行使も
優越的地位不当利用で







国土交通省は、「歩切り」を行った公共工事発注者が、その優越的地位を不当に利用した場合、建設業法の規定に基づく勧告が行えることを地方自治体などに周知した。歩切りを行って予定価格が決められた入札を辞退した建設業者に発注者がペナルティーを科すようなケースを想定。違法性が見られる発注者に対しては、許可行政庁の国交省や都道府県が業法の規定(19条の5)に基づいて勧告ができるとした。

国交省は、公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)や公共工事入札契約適正化法(入契法)で歩切り行為の違法性を問うのに加え、建設業法に基づく発注者への勧告という権限を行使できることも周知し、歩切り根絶に向けて抑止力を高めたい考えだ。

業法に基づく発注者への勧告権限は、取引上の優越的地位を不当に利用し、原価に満たない金額を請負代金とするような契約を防止する目的で設けられた。11年8月に国交省が制定した「発注者・受注者間における建設業法令順守ガイドライン」では、歩切りを理由に入札を辞退した建設業者を指名停止とすることなどによって、歩切りした予定価格の範囲内での入札を強要するようなケースがこれに該当するとしている。

国交省は、歩切り廃止に向けて作成したリーフレットにも、こうしたケースでは業法に基づく発注者への勧告が行えることを明記。当事者が大臣許可業者の場合は国交省、知事許可業者の場合は各都道府県が勧告権限を行使するため、両方の許可行政庁に対しても9日付で周知を図った。