2019/1/31(木)
新聞記事
平成31年1月29日 日刊建設新聞記事 
インタビュー「建設産業政策の行方」

≪(クロスアイ)インタビュー「建設産業政策の行方」≫
技能者の賃金2割引き上げを
品確法再改正で平準化など実現へ
佐藤信秋議員

国土強靭化、働き方改革、生産性向上などで建設業産業は今、変革を迫られている。こうした一連の政策の方向性に大きな影響を与える要素の一つが政治の行方だ。そこで来夏に予定される参議院議員選挙に、建設業界の職域代表として3期目の出馬を見据える佐藤信秋参院議員から、建設産業をめぐる政策の在り方について話を聞いた。

―― 国土強靭化に向けた取り組みの在り方は

佐藤 安倍首相が重要インフラの緊急点検に基づき、3カ年で集中対策を講じる方針を示してくれたことは非常にありがたい。国土強靭化については、ようやく国民から多少の理解を得られるようになったが、まだまだこれから。2019年度当初予算では、一般公共事業予算を増額した上で、国土強靭化予算を上積みして、第2次補正予算と合計で約2兆円の増額となった。しかし、3年間で国土強靭化が完了するわけではない。老朽化対策を含め10年先、15年先の展望を示す必要がある。

―― 担い手3法の現状と課題は

佐藤 特に自治体への浸透が十分ではないとの指摘がある。国も組織によっては濃淡がある。建設産業はGDpで10l前後の規模を占めており、その活動が経済に与える影響は大きい。仕事をしたら利益が出せるようにすることを国民に理解してもらわなければならない。測量・調査・設計を含めて適正利潤の確保は発注者の責任だ。もし、その取り組みが十分浸透していなければ罰則付きでもやればいいという議論もある。品確法、入札契約適正化法、建設業法一体でしっかりと浸透を図る努力を続ける必要がある。また、規模の小さい自治体には、技術系の職員が全くいないところもあるため、発注者支援の仕組みを充実させることも重要だ。

―― 品確法の再改正に向けた考え方は

佐藤 公共工事という定義の中に測量・調査・設計を含めることを考えている。また、災害など非常時の公共調達に際し、随意契約などの活用を明確化すべきだ。さらに、施工時期などを平準化する観点から、公共事業を会計法の単年度原則から除外し、「年度またぎ」を一般化することも視野に入れている。働き方改革関連法の施行が迫る中、3月末工期・納期が多い現状のままでは時間外労働規制をクリアすることは難しいだろう。

―― 週休2日制定着には何が必要か

佐藤 例えば、現在4週4休の現場を4週8休にする場合、日給月給で働く技能者の賃金を維持するためには賃金を2割引き上げなければならない。もちろん工期も4週8休の前提で伸ばす必要がある。まずは公共工事でこうした取り組みを先導しながら、民間工事にも波及させていくことが重要だ。

―― 東北では復興期間終了後の公共事業減少に不安が高まっている

佐藤 現在は復旧・復興が第一ということで優先的に進めているが、その余波を受けて遅れているプロジェクトが山のようにある。国土強靭化に加え、足腰の強い故郷づくりに向けて、その遅れを取り戻すため、復旧・復興事業と置き換えながら、大きな予算を集中的に確保していかなければならない。ただし、黙っていても予算はやってこない。東北全体で声を上げていくことが重要であり、私もその一員として力を尽くしていく覚悟だ。

―― 建設業界へのメッセージを

佐藤 生産性向上に注目が集まる中、業務の効率化を進める上では受発注者が一緒になって努力していくことが必要。建設産業は、平時は地域の雇用や経済を支えながら、非常時には故郷を守る危機管理産業である。常にインフラを造り管理しているからこそ、危機に際して活躍できる。この事実に対する理解をもっと社会に広げなければならない。


さとう・のぶあき
1972年京都大学大学院修士課程修了後、旧建設省に入省。国土交通省道路局長、技監、事務次官を経て、2007年参院選で初当選。現在2期目。