2023/2/20(月)
新聞記事
令和5年2月20日 建設工業新聞
建設工業新聞

自民党・佐藤信秋参院議員に聞く
労務単価5%上昇は「及第点」

受発注者尊重し合う契約に

自民党「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・根本匠衆院議員)の幹事長を務める佐藤信秋参院議員が日刊建設工業新聞などの取材に応じ、建設業従事者向けの賃上げ政策でさらなる充実や改善に意欲を示した。2024年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制に対応しこれから予測される就業日数の減少を補完するため、公共工事設計労務単価を今後3年で15%超引き上げることを提唱。国が3月1日から適用する労務単価の伸び率が9年ぶりに5%を上回ったことは及第点と評価した。

国土交通省が14日発表した新労務単価は全国平均で2万2227円、前年度比5・2%という伸び率。公共事業労務費調査結果に基づき設定された単価には国を挙げて推進する働き方改革に対応し、有給休暇取得の義務化分(年5日)や時間外労働の短縮に必要な費用、建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価を反映した手当なども盛り込まれている。

佐藤氏はかねて時間外労働の上限規制に対応した働き方改革と、担い手確保を後押しする継続的な賃上げの両立を提唱。建設産業の「2024年問題」と捉え、「新しい3K(給料、給与、希望・夢)の職場になれるかどうかの重要な分岐点」と訴える。

建設業従事者の労働時間が全産業平均に比べ約2割多い半面、男性技能者の年収が約2割少ないという厚生労働省の調査結果も問題視。技能者の給与水準については、週休2日確保を前提に1日当たりの平均賃金を約2万5000円、平均年収を他産業並みの550万〜600万円程度に引き上げる必要性を指摘。労務単価も政策的な視点を取り入れ、今後3年で15%以上の引き上げを呼び掛けている。

今回の5・2%という労務単価の伸び率に関しては「物価上昇分が反映されていないことを考えると最低限(及第点)はクリアした」と評価し、「経営者をその気にさせ、実際に支払う賃金を年収、月収ベースで上げていくという『成長と分配の好循環』につなげていくための第一歩」との考え方を示した。

民間請負契約の在り方などを議論する国交省「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の行方も注視している。資機材価格の高騰に伴う価格転嫁が思うように進まない状況にあって「民民の契約も公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の考え方を参考にし、受発注者がお互い(の事情など)を尊重し合うウイン・ウインの契約関係を築くべき」と述べた。

公共工事品確法の課題も列挙。資機材高騰分の価格転嫁がより円滑に行われるような仕組みや、高度な技術開発に取り組んだ企業向けインセンティブなどを検討するとした。