政府は6日、国土強靱化実施中期計画を閣議決定した。計画期聞は2026−20年度の5年間で期間内に実施する施策に326施策、このうち推進が特に必要な施策に114施策を定めた。事業規模はおおむね20兆円強程度。激甚化・頻発化する自然災害に対し、人命や財産を守るため、強靱な国土づくりを進める新たな計画が動き出す。
閣議に先立ち開かれた国土強靱化推進本部で、石破茂首相は「おおむね20−30年程度を一つの目安として、ハード・ソフトの施策を効果的に組み合わせ、着実に取り組みを進めていく。実施中期計画を踏まえ、国土強靱化の着実な推進に向けて、関係府省庁が一丸となって強力に取り組みを進めてほしい」と述べた。
防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の後継計画として切れ目のない国土強靱化施策を進める。計画の柱ごとの事業規模は、「防災インフラの整備・管理」が5兆8000億円、「ライフラインの強靱化」が10兆6000億円、「デジタルなど新技術の活用」が3000億円、「官民連携の強化」と「地域防災力の強化」が各1兆8000億円。
事業規模は、今後の資材価格・人件費の高騰の影響を適切に反映するほか、災害の発生状況、事業の進捗(しんちょく)状況などを踏まえて機動的・弾力的に対応する。20兆3000億円を起点に、毎年度の予算編成過程でさらに積み上げていく。
「災害外カ・耐力」「社会状況」「事業実施環境」の三つの変化に対応する施策を展開する。関係省庁の枠を超えた流域治水や道路施設の老朽化対策、住宅・建築物の耐震化を進める。埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえ、上下水道施設の強靱化に取り組む。
自動施工技術による建設現場の省人化対策や、国土強靱化施策の最前線に立つ建設産業の担い手確保の取り組みも盛り込んだ。
推進が特に必要な施策に中長期の目標となる234指標を設定した。毎年度の国土強靱化年次計画を通じて、進捗を確認していく。
閣議後の会見で関係大臣がコメント
坂井学国土強靱化担当相は「5か年加速化対策を含む国土強靱化施策により、治水対策をはじめ全国の対策実施箇所で被害を抑制する効果が確実に積み上がっている。他方、自然災害は激甚化・頻発化しており、南海トラフ地震など大規模災害の恐れが切迫する中、対策が急がれる箇所も数多く残っている。強靱化のペースを緩めず継続的・安定的に取り組みを進めることが重要だ」と述べた。
事業規模については「5年間でおおむね20兆円強をめどとしているが、物価高騰などを心配している自治体もあり、毎年度の予算編成時に反映する」と説明した。
中野洋昌国土交通相は「対策に必要な予寡を毎年度しっかりと確保できるように努める。上下水道を含め予防保全型のメンテナンスヘの早期転換に向けた対策や、建設業の担い手確保への対応など、関係省庁と連携をしながら防災・減災、国土強靱化の取り組みを全力で進めていきたい」と話した。